九州大学大学院芸術工学府/緑地保全学研究室

「きせつ×おんがく×そとあそびプロジェクト」主宰
青森大学総合経営学部客員准教授
国立青少年教育研究センター副センター長
オーガニックアドバイザー
メディカルハーブコーディネーター

伝統工芸体験で未来を紡ぐ ー 持続可能な地域創生へのアートな挑戦
 
 日本各地には、その土地に根ざした素晴らしい宝物が数多く存在します。その中でも、伝統工芸品は特に魅力的で、経済産業省が指定する伝統的工芸品だけでも240種以上、その他を含めると1,700を超える豊かなバリエーションが全国各地に息づいています。
 「伝統工芸」という言葉には、深い意味が込められており、「伝統」は歴史性、「工芸」は実用性を示しています。この言葉からは更に、地域ごとの独自の気候や地理的条件、自然環境に適応し、長年にわたる歴史の中で紡がれてきた「歴史性」と、地域資源を最大限に活用し、自然との調和を体現する「合自然性」を導き出すことができます1)
 福岡県の青少年教育施設に勤務していた際、私は地域のあぜ道のハゼノキ並木から採取された実を使って作られる、櫨の和ろうそくに出会いました。それは、地域の歴史と暮らしを表現する美しい有形文化財であり、人と自然、そして歴史が織りなす深い繋がりであることを感じ取り、心を奪われました。この伝統工芸品に触れた瞬間、私はその美しさと伝統工芸が持つ地域活性化への可能性に強く魅了され、その力を信じました。
 この感動をきっかけに、「伝統工芸がつくる持続可能な未来デザイン」というテーマのもと、伝統工芸を通じた芸術体験と自然体験を融合させ、次世代を担う青少年と地方地域の明るい未来を共に形作る活動と研究をスタートさせました。地元の皆様と共に、伝統工芸と体験型ワークショップを組み合わせたアートプロジェクトを展開し、地域社会に新たな価値と希望を創り出すことを目指しています。
 この取り組みを通じて、伝統と革新の融合による新しい未来をデザインし続けます。

  1)外山徹(2004),生きた文化財・伝統的工芸品の継承に関する現状と課題,明治大学博物館研究報告9:21-37,p34
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